
「根回し」と聞くと、裏でこっそり手を回す、少しずるい行為——そんなイメージを持つ方もいます。一方で、「根回しをしておけばよかった」と会議のあとに感じた経験がある方も多いはずです。
結論から言うと、根回しには『避けるべきもの』と『やっておいた方がよいもの』の2種類があります。この違いを知っておくと、会議で論点を共有しやすくなり、対立を避けるための準備になります。
この記事では、40代・50代の会社員に向けて、健全な「事前のすり合わせ」としての根回しと、会議前に確認しておきたい5つの準備を、架空の例とあわせて紹介します。
この記事でわかること:
- 「悪い根回し」と「健全なすり合わせ」の違い
- 会議前に確認しておきたい5つの準備
- 準備をするときの、具体的な考え方と例
- やってはいけない根回しの線引き
結論:根回しは「事前のすり合わせ」。会議前の5つの準備で決まりやすくなる

先に結論です。ここでいう根回しとは、会議の前に、関係する人と情報や方向性をすり合わせておくことです。当日いきなり提案してその場で判断を求めるより、事前に懸念を聞き、材料をそろえておくほうが、会議はスムーズに進みます。
会議前に確認したいのは、次の5つです。
- 会議の目的とゴール(何を決める場か)
- キーパーソン(決定や影響力を持つ人)は誰か
- 反対や懸念が出そうな点は何か
- 事前に共有しておくべき情報・資料
- 自分が求める結論と、譲れる点・譲れない点
どれも、特別なスキルではなく「準備」です。順番に見ていきます。
前提・用語
- 対象:社内の会議や打ち合わせで、提案や合意を得たい会社員
- 対象外:社外交渉の駆け引き、組織政治のテクニック、特定の役職・業界に限った作法
- やさしい用語説明:
- 根回し:会議などの前に、関係者に趣旨を伝え、意見や懸念を事前にすり合わせておくこと。この記事では、健全な事前準備の意味で使います。
- キーパーソン:その議題について、決定権や強い影響力を持つ人のこと。
「悪い根回し」と「健全なすり合わせ」は何が違うのか
まず、避けるべき根回しと、やっておいた方がよいすり合わせの違いを整理します。
避けたいのは、一部の人だけで裏で決めてしまい、他の関係者に情報を伏せるやり方です。透明性がなく、あとで「聞いていない」という不信につながります。
一方、健全なすり合わせは、会議で話す内容を、関係者に前もって共有し、意見や懸念を聞いておくことです。当日、初めて聞いて驚く人を減らし、議論を深めるための準備です。
| 避けたい根回し | 健全なすり合わせ | |
|---|---|---|
| 目的 | 一部で決めて押し切る | 全員が判断しやすくする |
| 情報 | 一部の人に伏せる | 関係者に前もって共有 |
| 進め方 | 密室・不透明 | 事前に懸念を聞く |
| 結果 | 「聞いていない」と不信 | 論点を共有しやすくなる |
つまり、根回しそのものが悪いのではなく、情報を隠して一部で決めることが問題なのです。オープンな準備は、むしろ丁寧な仕事です。
会議前に確認する5つの準備
準備1:会議の目的とゴールを確認する
その会議は、何を決める場なのかを最初に確認します。「情報共有だけ」なのか「結論を出す」のかで、必要な準備が変わります。
目的があいまいなまま参加すると、議論が広がりすぎて何も決まりません。分からなければ、主催者に「今回はどこまで決める会議ですか」と事前に聞くだけでも十分です。
準備2:キーパーソンは誰かを見きわめる
議題について、決定権や強い影響力を持つ人が誰かを考えます。その人が懸念を持ったままだと、会議で話が止まりがちです。
事前にその人へ趣旨を伝え、疑問点を聞いておくと、当日の反応を予想できます。役職が上の人とは限りません。実務に詳しい人が実質的なキーパーソンのこともあります。
準備3:反対・懸念が出そうな点を先に洗い出す
自分の提案に対して、どこに反対や不安が出そうかを、事前に想像します。コスト、手間、リスク、これまでのやり方との違いなど、引っかかりそうな点をリストにします。
架空の例で考えてみましょう。
架空の例:新しい報告ツールの導入を提案したい。予想される懸念は「今のやり方を変える手間」「費用」「使いこなせるか」の3つ。
こうして先に挙げておくと、当日その質問が来ても、落ち着いて答えられます。
準備4:事前に共有しておくべき情報・資料を用意する
会議で初めて資料を出すと、相手は読む時間がなく、判断を保留しがちです。判断に必要な情報は、前もって共有しておきます。
長い資料は要点をまとめ、「結論・理由・具体例」の順に整理すると読みやすくなります。とくに最初に結論を置くと、忙しい相手でも要点をつかみやすくなります。
準備5:自分の結論と、譲れる点・譲れない点を決めておく
最後に、自分は何を求めているのかをはっきりさせます。そのうえで、譲れる点と譲れない点を分けておきます。
すべてを通そうとすると、対立しやすくなります。「ここは譲るが、この一点は通したい」と決めておくと、話し合いの落としどころを見つけやすくなります。
AIで会議の準備を整理する(任意)
「懸念の洗い出しや、資料の要点整理が苦手」という場合、AIに壁打ち相手になってもらう方法もあります。勤務先などで利用が認められたAIチャットで、架空の設定で練習できます。
ただし、会社の実際の情報は入力しないでください。社名・個人名・数字は架空に置き換えます。この考え方は、関連記事「会社の情報を生成AIへ入れてよい?初心者向け安全チェック」で詳しく説明しています。
練習用プロンプト(架空例)
次の提案について、会議で出そうな反対・懸念を5つ挙げ、それぞれに対する簡単な返し方の案を出してください。条件:- 架空の設定として考える- 現実的で、相手の立場も踏まえた懸念にする提案:架空の社内で、新しい報告ツールを試験導入したい。
出てきた案は、そのまま使わず、自分の状況に合うかを確認してから使ってください。AIは考えを広げる手伝いは得意ですが、実際の人間関係や社内事情は、あなたのほうがよく分かっています。
メリットとデメリット
事前準備(すり合わせ)のメリット
- 会議で懸念が出ても、慌てず対応できる
- 当日「初めて聞いた」という人を減らせる
- 対立ではなく、合意形成の場に近づく
- 決定材料がそろいやすく、再確認を減らせる場合がある
デメリット・注意点
- 準備に時間がかかる(すべての会議でやる必要はありません)
- やり方を間違えると「一部で決めた」と受け取られる
- 相手や組織の文化によっては、過度な事前調整を好まない場合もある
向いている場面・向いていない場面
準備が特に役立つ場面
- 反対が出そうな提案や、関係者が多い議題
- 予算・人員・やり方の変更をともなう決定
- 自分より立場が上の人の判断を仰ぐ会議
準備を軽くしてよい場面
- 単純な情報共有や、すでに合意がある議題
- 少人数で、その場ですぐ決められる打ち合わせ
よくある質問
Q1. 根回しは、やっぱりずるい行為ではないですか?
A. 情報を隠して一部で決めるなら問題ですが、関係者に前もって共有し、懸念を聞いておくのは、丁寧な準備です。オープンであれば、ずるさとは違います。透明性があるかどうかが線引きです。
Q2. 誰に根回しすればいいか分かりません。
A. まずは「この議題で、反対されると話が止まる人」を考えてみてください。役職よりも、実務や決定に影響する人が誰かを見きわめるのがコツです。
Q3. 事前に話すと、会議が形骸化しませんか?
A. 事前共有は「結論を押し付ける」ためではなく、「論点を整理して議論を深める」ためのものです。会議では、事前に出た懸念を全員で検討することで、むしろ中身のある話し合いになります。
Q4. 時間がなくて、準備まで手が回りません。
A. 5つすべてをやる必要はありません。時間がなければ「目的の確認」と「キーパーソンへの一言」だけでも準備の一歩になります。小さく始めて構いません。
まとめ:今日は「キーパーソンに一言」から
- 根回しには、避けたいものと、やっておくとよいものの2種類がある
- 問題なのは情報を隠すこと。オープンな事前すり合わせは丁寧な準備
- 会議前に、目的・キーパーソン・懸念・共有資料・譲れる点の5つを確認する
- すべてを完璧にやる必要はなく、時間がなければ要点だけでよい
- AIで練習するときは、会社の実情報を入れず、架空例で行う
今日の一歩は、5つ全部を準備することではありません。次の会議で、キーパーソンに「この件、事前に少しご相談したいです」と一言かける——それが、会議を進めるための小さな準備になります。
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注意事項・免責
- 本記事は、社内での準備・コミュニケーションに関する一般的な考え方を紹介するものです。適切な進め方は、組織の文化・慣行・関係者との関係によって異なります。
- 例文はすべて架空です。実在の企業・人物・案件とは関係ありません。
- ChatGPTなどのAIで会議準備を練習する際は、会社の機密情報・個人情報・認証情報を入力しないでください。AIの出力には誤りが含まれる場合があるため、内容は自分で確認してください。
- AIサービスの機能・利用条件は変更される場合があります。
