人生後半戦をどう生きるか、不安や悩みを漠然と抱えるサラリーマンには、その解決方法が多く紹介されています。
〘キャリア編〙では、主に考え方やマインドセットについて書かれています。
考え方と言っても抽象的なものではなく、具体的な方法で書かれているのでとても参考になります。
できる40代は、「これ」しかやらないというタイトルの根幹になる、考え方がこのPart1で紹介されているので、このパートだけでもこの本を読む価値はありますね。
こんな方におすすめ
- 40代の人生後半をどう生きるかをマインドセットするには
- 会社での自分の価値の悩みを解決する方法
- ドラッカーの提唱する『パラレルキャリア』を実現する方法
できる40代は、「これ」しかやらない Part1〘キャリア編〙 大塚寿【感想】
40代は「人生後半をどう生きるか」を選べる最後のチャンスとして、キャリア編では、40代のこれから重要になる考え方が7つ紹介されています。
会社での不安が解決されることや、これからの自分の目標を決めていくために、とても参考となる方法が書かれています。
そして、副業時代へのサラリーマンの対応の仕方まで書かれています。
それでは順に見ていきたいと思います。
ポイント
1 40代ならではの「漠然とした不安の正体」を突き止める
2 「会社からの評価」より「自分自身の評価」を気にする
3 「自分の市場価値」を金額で把握しておく
4 自分を「レアカード化」する
5 「残りの人生ですべきこと」を三つ決める
6 40代はみな「じぶん商店」の経営者になれ
7 「月7万円稼げる副業」を持つ
①40代ならではの「漠然とした不安の正体」を突き止める
40代は人生の折り返し地点とも言われます。
そんな40代で、ふとこれまでの人生を振り返り、この先の人生を考えた時、「このままでいいのか」「これが自分のやりたかった人生なのか」「この先もずっと今の仕事や職場で安泰なのか」と漠然とした不安を持つ人もいるのではないでしょうか。
社会の変化や、急速なIT、AIの進展により、自分のこれまでのスキルが今後も通用するのか、仕事が奪われてしまうのではという不安もあると思います。
著者は、この不安について「5つの視点」で自分の不安を分析してみることをおすすめしています。
それが自分の現状分析シートです。
5つの視点で自分の現状分析し、それぞれの項目について評価していくというものです。
①自社の業界、②自社評価、③自社部門、④直属の上司、⑤自己評価、の5つの視点で分析します。
5つの視点で現状分析
①自社の業界、②自社評価、③自社部門、④直属の上司、⑤自己評価
まず、①自社の業界です。自社の業界は、中長期的な視点で、成長期なのか、安定期なのか、成熟期なのか、衰退期なのか、といった、市場全体からみた、業界の分析になります。
次に②自社評価です。業界での立ち位置は、何番手なのか、経営状況はどうなのか、他社と比較した自社の特徴や強みはどうなのかといった分析になります。
次に③自社部門です。自分のいる部門、職場は会社の中でどういった役割、位置にいるのか。会社の中で本流なのかそうでないのか等です。
次に④直属の上司です。サラリーマン人生は、嫌でも上司に左右される側面があることは事実です。今の上司が信用できるのか、社内での将来性など分析することになります。
最後に⑤自己評価です。上の①~④を踏まえて、自己評価します。自分自身のスキルや能力がどの程度のものか、それぞれの視点でどう通用するかを、未来が開けていけるかを考えることになります。
これらはしていくことで、少なくとも、漠然とした不安の正体が明らかになって、どうやって解消したらいいかも見えてくるということです。
ポイント
不安の正体がわからなければ、知る努力をすればいい。それが「後悔しない40代」への第一歩となる。
②「会社からの評価」より「自分自身の評価」を気にする
40代にもなると、気にしたくなくても、気になってしまう会社の評価。
そればかり気にしてても「会社にとって便利な人」だけになってしまう恐れもあります。
著者はこれまで1万人以上のビジネスパーソンの話を聞いてきましたが、その悩みのトップ3に入るのが、「会社に正当に評価されていない」というものだそうです。
参考
ビジネスパーソンの悩みトップ3に入るのが「会社に正当に評価されていない」というもの。
そこで、著者は、むしろ「会社があなたを正当に評価してくれることなどあり得ない」と考えるべきだと言っています。
そもそも仕事の評価はすべて、数値で測れるものではありません。置かれている環境、規模によって難易度も効率も大きく違ってくる。
40代にもなって、「会社や上司の期待に応える」意識でいると、自分だけが損をするということです。
メモ
40代にもなって、「会社や上司の期待に応える」意識でいると、自分だけが損をする。
それでは、自分だけが損をしないために、どうすればいいのか。
そこで、著者は「ハロー効果」と「便利屋」からの脱却を指摘しています。
「ハロー効果」は「何か優れた点が一つでもあると、それに影響されて他の項目まで高評価になってしまう」というものです。
つまり、自分のブランディングや、特定の分野に強い人だというアピールをするということです。
人事考課者研修ではこのハロー効果に注意を促すべきと必ず教えらるそうです。
逆に言えば、それだけハロー効果は強力で、特徴がない人ほど、特徴のある人のハロー効果の犠牲になってしまうということです。
メモ
人事が恐れる「ハロー効果」:「自分はどの分野に強い人だと評価してもらいたいのか」というブランディング。レッテルの貼り換え。
そして、次に「便利屋」からの脱却です。
「会社が上司が求めている成果を出し続ける」ことに注力すると、自分の得意なものではなく、「余計なもの」が回ってくるということです。
特定の誰もやりたがらないことや、その人でなくても誰がやっても同じ結果になりそうな仕事、といった具合です。
そのため、できる40代は余計な仕事をやらず、自分の評価につながる仕事だけをやる。
これがポイントということです。
これらのことは、「7つの習慣の『第1の習慣:主体的に生きる』」や、「アドラー心理学的な『課題の分離』や『存在価値と機能価値』」でも言われていることです。
他者の人生を生きるのではなく、自分の人生を生きる、つまり自己評価はどうなのか、というのはとても大切な考え方です。
ポイント
「会社に評価される仕事」ではなく、「自分の評価が上がる仕事」だけをしよう。
③「自分の市場価値」を金額で把握しておく
入社以降「転職」について考えたことのない人は少なくないはずです。
40代になったら転職はもう無理なのではないか。
いえいえ、今の時代、そんなことはありません。
「転職35歳限界説」はもはや過去の話です。
今の40代は就職活動時期はバブル崩壊と重なった「貧乏くじ世代」「就職超氷河期世代」です。
「非正規社員」が大量に生まれた犠牲者世代です。
今でも中年の引きこもり問題など尾を引いています。
しかし、現代社会では、「転職35歳まで」というのは、昭和あるいは平成中期までの都市伝説と言っていいものです。
今ではSNSで発信し、SNSのダイレクトメールで仕事の依頼が来たり、企業からのオファーが来ることもあります。
仕事はいくらでも見つけようと思えば見つけられます。
そして、企業の年齢構成というのは、通常は「逆ピラミッド型」が多いですが、実際には40代が急激に減る「ワイングラス型」の企業も多いということです。
つまり、どの企業もこの世代が足りていなく、中途採用で補充する必要があるということです。
そこで、著者のおすすめは、本当に転職したいかどうかは別として、「一度、真剣に転職活動をしてみる」ということです。
そうすると自分の本当の「市場価値」が見えてくる。
転職サイトに登録してみて、自分の年齢、職歴、業種でどんな年収でどんな求人があるかをチェックしてみる。
これをすることで、社会で求められているスキル、能力が見えてくるし、自分に足りない点も見えてくる。
転職サイトを見てみて、自分お価値が低かった人は、これから知識、経験を増やすため「価値が上がる仕事」を中心に行っていくべきということになります。
この考え方は、ちきりんさんの著書「マーケット感覚を身につけよう」でも、自分のマーケット価値を知ることの重要性が詳しく取り上げられています。
ポイント
「自分は年収いくらで転職できるか」を一度調べてみることで、今後の仕事の指針が定まる。
④自分を「レアカード化」する
40代にもなると、「得意な分野」や「強み」を1つや2つ持っているはず、でもそれは、差別化できる「レア」のものでしょうか。
この分野であれば、会社で自分がNo1.というものを作り上げて、「それしかやらない」のが最速で成果を上げるポイントになります。
いわば「自分の土俵」を作り上げ、そこで勝負し成果を出すということです。
これはまさに「7つの習慣の『影響の輪』『インサイドアウト』」の考え方です。
自分が影響力を及ぼせる、コントロールできる範囲からそとに広げていく、という考え方です。
コンサルタント業界で仕事をする著者の例で言えば、「法人営業分野」の「新規開拓営業」が勝てる土俵ということになります。
組織で働くにあたっても「自分の土俵」を持っている人は圧倒的に強いです。
管理職になることを拒否し、特定の分野で誰にも負けない技術を磨き上げた技術者も、会社にとっては欠かせない人物になります。
では、どうやって、その「自分の土俵」を見つけ、作り上げていくか。
ポイントは、「ブルーオーシャンは『掛け合わせ』で探せ」ということです。
メモ
ブルーオーシャンは「掛け合わせ」で探せ
誰でも、その分野で10年の経験、などがあれば、その分野に精通しており、強みにはなっています。
しかし、それでは「他の人も持っているもの」として、埋もれてしまいます。
レアキャラとしては確率するには、そこからさらに一歩進んで、もう1つ、2つの得意分野を掛け合わせると、誰にも真似できない、オリジナルの領域になるということです。
難しく考えずに「合わせ技で一本」を狙うのが手っ取り早いです。
歌も踊りも圧倒的ではないけど、「歌って踊る」ことができればアイドルになれるのと同じということです。
「気さくな経理マン」「税理士資格を持つ営業マン」「国際感覚を持つ〇〇」など。
職場として、こうしたオリジナルの肩書を持つ人が多くいる方が楽しい感じがしますし、組織も活気づくと思います。
ポイント
どうやったら自分を「レアキャラ」にできるか、真剣に考えてみよう。
⑤「残りの人生ですべきこと」を三つ決める
年齢を重ねていくほど、時間が経つのが速くなっている感じがする。
40代、これからの人生の後半戦は、前半戦と比較にならないほど時間は急速に進行しいくことになります。
人生の長さで見ると、1年は40歳で40分の1、6歳で6分の1です。
70歳では70分の1と、今後、さらに1年が、小さく、早くなっていきます。
だからこそ、40代になったら、「残りの人生で何をするか」を絞り込みj、時間をムダにしないことが大切だということになります。
そこで著者は、「手に入れたいもの」「やり遂げたいこと」「何を大切にして生きていきたいか」を3つ挙げ、それを円グラフにする方法をおすすめしています。
参考
「手に入れたいもの」「やり遂げたいこと」「何を大切にして生きていきたいか」を3つ挙げ、それを円グラフにする。
ますは、思いつくままに、上の3つの項目について、リストアップしていき、その後、自分の中で上位3つに絞り込む。
これが自分の人生の優先順位そのものということになります。
「7つの習慣の『第2の習慣:最優先事項を優先する』」を考える時にもこの方法が使えます。
例としては、著者が40代で描いたのは「自由、カネ、世にテーゼ」だったということです。
自由のウェイトが半分強で、次にカネ、次に世にテーゼだったそうです。
ポイント
残りの人生で手に入れたいものを「三つ」に絞り、常に目の届くところに置いておこう。
⑥40代はみな「じぶん商店」の経営者になれ
50歳近くになると「役職定年」「出向」なども気になってきます。
「会社のために頑張る」のは正解なのだろうか。
これから準備するべきことは何か。
著者は「会社しかない人生」の寂しさを指摘しています。
というのも、「どんなに会社のことを愛しても、会社があなたを愛してくれるとは限らないのが今の日本です」ということです。
著者の出身の会社である、リクルートでは、数多くの経営者が生まれています。
その理由というのが、リクルートは「皆経営者主義」という言葉を会社で当時掲げていたそうです。
「自分が自分の仕事の経営者だ」という意識です。
つまり「じぶん商店」の集まりということです。
そして、この「じぶん商店」というのは、ビーター・ドラッカーの「パラレルキャリア」と同義ということです。
ドラッカーは著書「明日を支配するもの」で、これからのビジネスパーソンは本業以外の仕事を持ったり、NPO活動などに従事して「パラレルキャリア」を実現することが不可欠だと説いています。
いわば会社の名詞以外に「2枚目の名詞」を持つ、ということです。
会社のために全力を尽くせば一生面倒を見てもらえる時代はとうに終わっています。
ポイント
「会社に片思い」をしても報われない。今すぐ会社以外の「2枚目の名詞」を持とう。
⑦「月7万円稼げる副業」を持つ
人生100年時代、政府も大企業も続々「副業解禁」を進めていく時代です。
何をやったらいいかわからない、なかなかはじめの一歩が踏み出せないという人も多いのではないでしょうか。
会社の副業禁止規定を、まず確認するのはもちろんですが、今の時代、副業を禁止している会社の方が個人の能力の向上を抑圧しブラック企業であると思われてもおかしくない時代です。
著者は、副業で大事なのは金額ではないが、目標金額は絶対必要と言っています。
「実現可能な収入目標を決めて副業に取り組む」ということ。
そして「月7万円ならば十分に手が届く上に家計の足しとしても十分」ということです。
今では、副業のハードルも下がり、企業と個人、個人と個人をつなぐサイトも多く登場し、容易になっています。
例えば、40代ワーキングウーマンの週末のフラワーアレンジメント教室、手芸教室。
「教える」というニーズも無数にあります。
自分のスキルや経験でどんなことを教えることができるか、一度考えてみるといいということです。
そして、裏技として、「事業承継M&A」サイトをチェックして、会社の所有権を買い取るという方法もあります。
ポイント
「月7万円を稼ぐには?」という発想で、どんな副業ができるかを考えてみよう。
できる40代は、「これ」しかやらない Part1〘キャリア編〙 大塚寿【感想】【実践ポイント】
実践ポイント
- 漠然とした不安や悩みは5つの視点で現状分析する。
- 会社と自分の市場価値を評価し、自分をレアカード化する。
- じぶん商店の経営者になりパラレルキャリアを実践する。
できる40代は、「これ」しかやらない Part1〘キャリア編〙 大塚寿【感想】まとめ
「これ」しかやらないの「これ」を、自分なりに解釈すると、「やるべきことを3つに絞る」、「マーケット感覚を持って自分をレアカード化する」「じぶん商店の経営者になる」ということになります。
どれも40代からの後半戦を生きていくには、必須な内容だと感じました。
また、私の好きな、コヴィー先生の「7つの習慣」、「アドラー心理学」、ちきりんさんの「マーケット感覚を取り戻そう」とも通じるところが多くあり、納得のパートでした。
できる40代は、「これ」しかやらない Part1〘キャリア編〙 大塚寿【感想】 評価ポイント
ポイント | 評価 |
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読みやすさ | |
実践しやすさ | |
知識の発見度 | |
構成 | |
総合 |
できる40代は、「これ」しかやらない 大塚寿 本の目次
本の目次
【できる40代は、「これ」しかやらない 大塚寿】
<第1章【キャリア編】40代は「人生後半をどう生きるか」を選べる最後のチャンス>
<第2章【会社編】「ダークでディープな組織」を上手に泳ぐスキルを身につけよ>
<第3章【マネジメント編】「正しい任せ方」を知らないと、自分もチームも回らない>
<第4章【プライベート編】ワークをいったん手放し、「ライフ」に最大限シフトせよ>
<第5章【タイムマネジメント編】仕事が速い人は「これ」しかやらない>
<第6章【人脈編】40代からは「誰とつながっているか」で勝負が決まる>
<第7章【勉強編】限りある時間で、最大限の成果を得る>