ここでは、7つの習慣の中でも一番難しいと思われる5つ目の習慣。
それがまず第5の習慣、まず理解に徹し、そして理解されるです。前半が相手を理解する方法、後半が理解される方法になっています。
第5の習慣、まず理解に徹し、そして理解されるは共感によるコミュニケーションの原則です。
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こんな方におすすめ
- コミュニケーション能力を高めたい
- 相手の話を効果的に聴く方法
- 自分の話を理解してもらう方法
7つの習慣「第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される」
共感による傾聴
コミュニケーション
コミュニケーションの悩みや、コミュニケーション能力を高める啓発本等、世間ではたくさんありますが、私たちがコミュニケーションというと、イメージするのは自分が話す場面だと思います。
しかし、この本ではコミュニケーションの基本は、読む、書く、話す、聴くの4つであると言われています。
つまり話すは、コミュニケーションの4つの基本のうちの1つであるということです。
他の読む、書く、聴くも同じようにコミュニケーションの基本ということになります。
これは、例えば、仕事の会議や、専門家との打ち合わせの場面を想像してみます。いきなり、事前準備なしに会議に入っても、生産的な会議や打ち合わせができるともあまり思えません。
事前に資料に目を通して読んでおくことや、その特定の専門分野の本を読み、今課題となっている点や、考え方等をある程度知っておくことで、限られた時間での会議、打ち合わせを生産的なものにすることができるでしょう。
そのためこの読むや書くも重要なコミュニケーションということがわかります。
そして、もう一つの聴く、これがこの本では特にコミュニケーションで、まず相手を理解するために必要なことと述べられています。
ポイント
コミュニケーションの基本は、読む、書く、話す、聴くの4つである 。
共感による傾聴
多くの人は、相手の話を聴く時も、理解しようとして聴いているわけではありません。
自分のこれまでの経験に照らし合わせて(自叙伝的)、理解したつもりになっている。
「そうそう、その気持ち、よくわかるわ!」
「私も同じ経験をしたんだ、それはね・・・」
という会話もよくありますよね。
コヴィー先生によると、これは例えると、ただ、「自分がかけている眼鏡を誰にでもかけさせようとするのと同じだ」ということになります。
こういう人たちは、息子や娘、配偶者、同僚など、身近な人との関係に問題が起こると必ず、「向こうが理解していない」と思うものであると言っています。
この本では、息子と父親のコミュニケーションがうまくとれていない会話が紹介されています。
父親は、自分の頭の中で息子の世界を見て、息子の頭の中で何が起きているかを見ていないという会話です。
つまり、多くの人は自分の経験、自叙伝を押しつけようとするということです。
自分が正しい、まず自分が理解されたいのです。
相手の内面で起きていることは理解できずに終わってしまう。
ここで、「聞く」姿勢を4つの段階的レベルに分けると次のようになります。
レベル1は、一番低いレベルで、相手を無視して話をまったく聞かない。レベル2は、聞くふりをすること、「うん、うん」とあいずちは打つが、話の中身をまったく聞いていない。レベル3は、選択的に聞くです、話の一部分だけ聞く、レベル4は、注意して聞く、集中して相手の話に注意を払う。
ほとんどの人は、レベル4が最高のレベルになりますが、この本では、その次のレベル、共感による傾聴、相手の身になって聞くが説明されています。
【「聞く」姿勢の5つのレベル】
レベル1:相手を無視して話をまったく聞かない
レベル2:聞くふりをすること
レベル3:選択的に聞く
レベル4:注意して聞く
レベル5:共感による傾聴
レベル5の共感による傾聴とレベル4の注意して聞くを比較してみます。
レベル4の注意して聞くは、相手の話すことを集中して聞きます。熱心に聞いていますが、頭の中では、次に自分がどう返事をしようか、どう言えば相手をコントロールできるかと考えを巡らせています。
これに対し、レベル5の共感による傾聴は、まず相手を理解しよう聴くことであり、相手の身になって聴くことです。
この2つは、外観からは差はあまりないかもしれませんが、パラダイムが全く違っています。
参考
共感とは、相手の視点に立ってみることである。相手の目で物事を眺め、相手の見ている世界を見ることである。それによって、相手のパラダイム、相手の気持ちを理解することである。
共感は同情とは違う。同情は一種の同意であり、価値判断である。たしかに、共感よりも同情してあげるほうが適切な場合もある。しかし、同情されてばかりいたら、人は同情を当てにするようになり、依存心が強くなってしまう。共感の本質は、誰かに同情することではない。感情的にも知的にも、相手を深く理解することなのである。
ここに、この第5の習慣が、難しいと感じる理由があります。
共感による傾聴はリスクもあるということです。
共感しながら相手の話を聴くには強い安定性が必要になるということです。
自分自身が心を開くことによって、相手から影響を受けるからです。
ポイント
共感による傾聴はリスクもある 。 共感しながら相手の話を聴くには強い安定性が必要になる 。
それでも相手に影響を与えようと思ったら、自分もその人から影響を受けなければならないということです。
それが本当に相手を理解するということです。
そのため、第1~3の習慣の基礎をしっかりと固めておく必要があるということになります。
処方する前に診断する
医者は処方する前に診断しなければ、正しい処方をすることはできません。
これは、あらゆる場面での原則になります。
コミュニケーションで言えば、診断するは、聴くことであり、相手を理解することです。
営業職、セールスマンで言えば、顧客のニーズ、視点を理解することです。
この相手の理解ができていない状態で、どんなに処方をしても、的外れな処方になってしまう可能性が非常に高いです。
ポイント
相手の理解ができていない状態で、どんなに処方をしても、的外れな処方になってしまう 。
参考
診断を信用できなければ、処方も信用できないのである。
この原則はセールスにも当てはまる。有能なセールス・パーソンは、まず顧客のニーズと関心事を突きとめ、顧客の立場を理解しようとする。素人のセールス・パーソンは商品を売り、プロはニーズを満たし問題点を解決する方法を売るのである。アプローチの仕方がまったく異なるのだ。プロは、どうすれば診断できるか、どうすれば理解できるかを知っている。
参考
まず理解に徹する。これが正しい原則であることは、人生のあらゆる場面で証明されている。それはすべての物事に当てはまる普遍的な原則だが、もっとも力を発揮する分野は、やはり人間関係だろう。
4つの自叙伝的反応
私たちが人の話を聞く際に、自分の過去の経験と重ねて合わせてしまうため、次の4つの反応をしがちであることが指摘されています。
①評価する、②探る、③助言する、④解釈する、の4つです。
【4つの自叙伝的反応】
①評価する:同意するか反対するか
②探る:自分の視点から質問する
③助言する:自分の経験から助言する
④解釈する:自分の動機や行動を基にして相手の動機や行動を説明する
これらの反応は、ほとんどの人が自然に行っている反応です。
しかし、これらの反応では相手を本当に理解できているかはあやしいということなのです。
ここで、本に紹介されている父親と息子の話の例を、かいつまんで見ていきたいと思います。
<>が4つの自叙伝的反応で、()が息子の心の声を表しています。
「父さん、学校なんてもういやだよ。くだらないよ」(父さんと話がしたい。ぼくの話を聴いてほしいんだ)
「何かあったのか?」<探る>(関心を持ってくれた。いいぞ!)
「全然現実的じゃない。何の役にも立たないよ」(学校のことで悩んでいる。落ち込んでいるんだ)
「まだ学校の大切さがわかっていないんだ。父さんもおまえの年頃にはそんなふうに思っていたものさ」<助言する>(あーあ、また父さんの自叙伝第三章だ。ぼくはそんな話をしたいんじゃない。長靴も買ってもらえずに雪の日に何マイルも学校まで歩いたって話、ぼくには関係ないんだ。ぼくの問題を話したいんだ。)
「おまえ、学校で本当に努力したのか?」<探る、評価する>(これじゃ堂々巡りじゃないか。父さんがちゃんと聴いてくれさえすれば、本当に大切なことを話せるのに)
「おい、テレビばかり見ていないでもっと宿題をしたらどうなんだ。そんなふうだから・・・」<助言する、評価する>(父さん、そういう問題じゃないんだよ!そんなんじゃないんだ!もう父さんには何も話さない。父さんなんかに相談しようとしたぼくが馬鹿だった)
この会話の例から、言葉だけで人を理解しようとしてもうまくいかないことがよくわかります。
なんとか自分のことをわかってもらおうとしている息子に対して、自叙伝的反応がどれだけコミュニケーションを妨げてしまっているかがわかります。
それでは、どのようにコミュニケーションをとればいいのでしょうか。
ここで、共感による傾聴の4つのスキルが紹介されています。
共感による傾聴の4つのスキル
この共感による傾聴の4つのスキルは、段階ごとに次のようになります。
【共感による傾聴の4つのスキル】
①第1段階:相手の言葉をそのまま繰り返す、「積極的傾聴」
②第2段階:相手の言葉を自分の言葉に置き換える
③第3段階:相手の気持ちを言葉にする
④第4段階:第2段階と第3段階を組み合わる
これを、先ほどの父親と息子の会話の例にあてはめてみます。
【第1段階:相手の言葉をそのまま繰り返す】
「父さん、学校なんてもういやだよ」
「学校がいやなんだね」
【第2段階:相手の言葉を自分の言葉に置き換える】
「父さん、学校なんてもういやだよ」
「そうか、学校に行きたくないんだ」
【第3段階:相手の気持ちを言葉にする】
「父さん、学校なんてもういやだよ。くだらないよ」
「なんだかイライラしているようだね」
【第4段階:第2段階と第3段階を組み合わる】
「父さん、学校なんてもういやだよ。くだらないよ」
「学校に行きたくなくて、なんだかイライラしているようだね」
この本では、この父親と息子の会話が、共感による傾聴を行っていくことで、徐々に息子が心を開き、論理的に反応をし始めていくことになります。
感情的ではなく、この論理的に聞く姿勢を息子が取り始めた時が、父親の自叙伝の話を聴く姿勢になっているということです。
そして、感情的になった時には、再び共感による傾聴によってコミュニケーションをとることになり、これを繰り返すことになります。
ここまで、見てくると、共感による傾聴が、いかに時間のかかることなのかもわかります。
しかし、相手が受け入れる姿勢になっていないまま、誤解が生じ続けたり、やり直すことに比べれば、たいした時間ではないことになります。
理解される
理解ととらえ方
同じ物事や事実を見ていても、そのとらえ方、解釈は人によって異なるものです。
この本でたびたび例として紹介される、不思議絵の老婆と若い女の人の2通りの見え方ができる絵です。
どちらの見え方も、正しい見方で、そう思えるものです。
相手が、配偶者中心の眼鏡で世の中を見ていたり、経済やお金中心で世の中を見ているかもしれません。
また、視覚的、直観的に物事をとらえる右脳タイプである場合もあれば、論理的、統計的に分析する左脳タイプである場合もあります。
人それぞれ違う眼鏡をかけて世の中を見ている中で、家庭でも、会社でも、地域社会の奉仕活動でも、決められたリソースをうまく使って結果を出すために力を合わせなくては
なりません。
そのためにはどうすればいいのでしょうか。
その答えが、この第5の習慣ということになります。
そして、この第5の習慣、がWin-Winの関係に至るプロセスの第一歩ということになります。
ポイント
同じ物事や事実を見ていても、そのとらえ方、解釈は人によって異なるものです。 力を合わせて結果を出すにはこの第5の習慣 が必要。
そして理解される
Win-Winの関係に至る には、相手を理解するだけでなく、理解されることも必要になります。
第4の習慣では、成熟さとは、思いやりと勇気のバランスであると定義されていました。
相手を理解するには、思いやり、自分を理解してもらうには勇気が要ります。
ポイント
相手を理解するには、思いやり、自分を理解してもらうには勇気が要ります。
この本では、第5の習慣を表す、よい例として古代ギリシアの哲学が紹介されています。
それが、エトス、パトス、ロゴスという3つの言葉です。
【古代ギリシア哲学の3つ言葉】
①エトス:個人の信頼性を意味する。信頼残高。
②パトス:感情、気持ちのこと。相手の身になってコミュニケーションをとること。
③ロゴス:論理を意味する。自分のことを筋道立てて表現し、相手にプレゼンテーションすること。
相手から信頼をされている状態で、相手の考えや身になって、自分の説得したいことを伝える、この方法が一番効果的であるということです。
これは、人間関係、セールス、広告等あらゆ場面で、人に影響及ぼすために必要となる要素で活用できる強力なスキルであると言えます。
少し、話が脱線してしまいますが、広告のコピーライティングや、セールスライティング、LP(ランディングページ)で商品を売る時も、成約率の高い広告やLPではこの要素を必ず入れていることがわかります。
例えば、①権威性ある人や有名人を起用することで、信頼性を高め、②ターゲットユーザーの悩み、不安、気持ちに共感しつつ、③その悩みを解決する商品と未来の生活を提案する、といった流れの商品紹介です。
この広告の流れ一つとっても、第5の習慣は難しくも、大きな価値のあるスキルが身につく習慣であるといえます。
7つの習慣「第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される」【実践ポイント】
実践ポイント
- 共感による傾聴をする
- 処方する前に診断する
- 理解される
7つの習慣「第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される」 感想まとめ
コミュニケーション一つとっても、読み、書き、聴く、話す、の4つに分けて意識する。
話すだけではない、聴く、読む、書くもコミュニケーションとして意識することで、その幅が広がり楽しくなる感じがしました。
そして相手を理解するために一番重要とされる共感による傾聴。これを4つの段階に分け、その第4段階の「相手の言葉を自分の言葉に置き換えつつ、相手の気持ちを言葉にする」ことが、コミュニケーションの壁を突破する一つの効果的な方法であり、実践していくべき方法と感じました。
「学校に行きたくなくて、なんだかイライラしているようだね」の父親の言葉です。
そして、相手を理解し、自分を理解してもらう、ための、成熟さ、勇気と思いやりのバランスと、古代ギリシア哲学のエトス、パトス、ロゴスが、この第5の習慣で重要なことであり、人間関係、ビジネス、あらゆる場面で活用できると思いました。
7つの習慣「第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される」 評価ポイント
ポイント | 評価 |
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読みやすさ | |
実践しやすさ | |
知識の発見度 | |
構成 | |
総合 |
7つの習慣「第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される」 本の目次
本の目次
<第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される>
共感によるコミュニケーションの原則
人格とコミュニケーション
共感による傾聴
処方する前に診断する
四つの自叙伝的反応
理解ととらえ方
そして理解される
一対一
第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される 実践編