ビジネス 本レビュー

7つの習慣「第7の習慣 刃を研ぐ」【感想】

  1. ホーム >
  2. 仕事・キャリア >
  3. ビジネス >

7つの習慣「第7の習慣 刃を研ぐ」【感想】


dai7noshukan

7つの習慣の最後の習慣、第7の習慣は刃を研ぐです。
これまでの習慣を身に着け、さらにそれをブラッシュアップし続ける習慣になります。


Audible (オーディブル) - 本を聴くAmazonのサービス

こんな方におすすめ

  • 自己達成予言的に相手をあるべき姿に変える方法
  • 日々バランスのとれた人間に成長し続けるために意識すること
  • 個人、組織において7つの習慣を日々実践する方法

7つの習慣


7つの習慣「第7の習慣 刃を研ぐ」

再新再生の4つの側面

第7の習慣の冒頭では、森の中で必死に木を切り倒そうとしている人の例え話が出てきます。
その人はひどく疲れている様子で、5時間くらい木を切り倒そうとしているが、なかなか切れないということです。
そこで、その人へノコギリの刃を研げば、もう少しはかどると提案してみますが、「切るのに忙しくて刃を研ぐ時間なんかあるものか!」と言い返されてしまいます。

これが刃を研がないことによって、仕事が進まず、疲弊してしまう、反面教師としての例え話です。

コヴィー先生は、人間をつくっている4つの側面(肉体、精神、知性、社会・情緒)の刃を研ぎ、再新再生することの習慣を第7の習慣としています。
そしてこの「刃を研ぐ」活動は、第二領域の活動であり、主体的に行うべき活動であると言っています。
つまり、P/PCバランスを、自分で主体的に行い、「刃を研ぐ」ことで、PC(成果を生み出す能力)を高めて、より高いP(成果)を生み出していくということになります。

ここでは、4つの側面の刃の研ぎ方が紹介されています。

肉体的側面

肉体的側面の刃の研ぎ方は、身体によいものを食べ、十分な休養をとってリラックスし、定期的に運動する、ということです。
どれも当たり前のことですが、生活のリズムが整っていないと崩れていく側面です。
生活や精神が乱れたりして、この側面が悪化すると全てにおいて悪い影響を及ぼしていくことになる、一番基本となる側面です。

コヴィー先生はおすすめの運動方法まで紹介してくれています。
まず、理想的な運動は、自宅でできて、持久力、柔軟性、筋力の3つを伸ばせる運動プログラムがよいと言っています。

持久力をつけるには有酸素運動がおすすめで、その基準が1分間の心拍数が100を超える運動を30分続けると、最低限の体調を維持できるといわれています。

最近では、ウェラブルウォッチとして人気のある、アップルウォッチやガーミン、ギャラクシー、ファーウェイなどのほとんどのスマートウォッチは、心拍数や歩数が当然のように計測する機能がついていますよね。

スマートウォッチの普及によって、健康管理や、心拍数の管理もより広まっていくといいですよね。

ポイント

1分間の心拍数が100を超える運動を30分続けると、最低限の体調を維持できる 。

参考

少なくとも自分の最大心拍数の60%になれば理想的だ。最大心拍数というのは、一般的には、220から年齢を差し引いた数値だと言われ、心臓が全身に血液を送り出すときのトップスピードのことである。たとえば40歳の人なら、最大心拍数は220ー40=180だから、180×0.6=108まで心拍数を上げる運動が理想的である。最大心拍数の72~87%になる運動であれば、「トレーニング効果」が表れるとされている。

少し、持久力のパートが長くなってしまいましたが、次が柔軟性です。
柔軟性にはストレッチが最適ということです。
準備運動や、体操等で、筋肉をほぐし温め、あとの激しい運動の準備をします。
そして、運動後のストレッチは、筋肉にたまった乳酸を散らすので、筋肉の痛みや張りを防ぐ効果があるということです。

そして、筋力です。筋力をつけるには、筋肉に負荷をかける運動がよいです。
いわゆる筋トレですよね。

負荷をかけて耐えることを繰り返すことで、筋肉の繊維が強化され、より強い負荷にも対応できるようになる。
これと同じ原則が、忍耐など情緒的な筋肉にも作用しているということです。
限界を超える我慢などすると、精神の筋肉繊維が強化され、精神力が強くなる。

これらの運動を継続することで得られる最大のメリットは、第1の習慣の主体的な筋肉も鍛えられるということです。
健康を大切にする価値観を持って行動すると、自信がつき、自分に対する評価や自尊心、誠実さが大きく変わっていくはずです。

ポイント

運動を継続することで得られる最大のメリットは、第1の習慣の主体的な筋肉も鍛えられるということ 。

精神的側面

精神的側面の再新再生を行うことは、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」と深く関係している側面であり、自分の人生に対するリーダーシップを磨くことになります。
この精神的側面の刃の研ぎ方は、人それぞれ、様々な方法があります。

例えば、コヴィー先生は毎日聖書を読み、祈り、瞑想することが精神の再新再生になっているということです。
また、人によっては、偉大な文学や音楽に没入することで 精神の再新再生 を感じる人もいれば、雄大な自然との対話から見出す人もいるでしょう。

そして、この精神の再新再生には、時間を投資しなければならず、これは決して無駄にすることのできない第二領域の活動であります。

そのため、人生のミッションステートメントが大切になってくることがわかります。
自分の中心と目的を明確にして、ステートメントにしておき、それを見直し、決意する。

ポイント

精神の再新再生には、時間を投資しなければならず、これは決して無駄にすることのできない第二領域の活動である。

参考

宗教家のデビッド・O・マッケイは「人生の最大の闘いは、日々自らの魂の静けさの中で闘われるものである」と教えている。あなたがこの闘いに勝ち、心の中の葛藤を解決できれば、平穏な気持ちになり、自分が目指すものを見出せる。そうすれば公的成功は自然とついてくる。自分の力を生かせると思う分野で他者の幸福のために貢献し、他者の成功を心から喜べるようになるのである。

知的側面

学校等を卒業すると、学習する時間をとり、知性を磨く機会が減る人は少なくない。
真剣に本を読んだり、書いたりすることもぱったりなくなってしまう人もいるでしょう。

そうした中で、継続的に学び、知性を磨き広げていくことは、この知的側面の再新再生には不可欠です。
この側面では、知性を磨き、より大局的な問題や目的、他者のパラダイムに照らして、自分の人生のプログラムを見直す能力を伸ばすことが大切であるとコヴィー先生は言ってます。
そして、それこそが教育の定義であるとも言っています。

そのためには、多くの本を読み、偉人の言葉に接することと、文章を書き、自分の考えを明確にして、論理的に説明することが大切であるということです。
これも波及効果の高い第二領域の活動になります。

ポイント

コヴィー先生の教育の定義は、より大局的な問題や目的、他者のパラダイムに照らして、自分の人生のプログラムを見直す能力を伸ばすこと 。

参考

「戦争の勝敗は将軍の天幕の中で決まる」と言われる。最初の三つの側面ー肉体、精神、知性ーの刃を研ぐ努力を、私は「毎日の私的成功」と呼んでいる。あなたの内面を磨く時間を毎日一時間とることを勧めたい。これから一生、毎日一時間でよいから、ぜひそうしてほしい。

社会・情緒的側面

上の3つの側面、肉体・知性・精神の側面は、第1~3の習慣と関係するのに対して、社会・情緒的側面は、第4~6の習慣と関係します。
また、肉体・知性・精神の側面の刃を研ぐことには、時間がかかりますが、社会・情緒的側面の刃を研ぐことはそれほど時間がかからないことがポイントです。

普段の生活の中で、人と会話したりする中で十分にできるからです。
それでも訓練は必要になります。
私的成功を獲得して、公的成功のスキルを身につけておかなければなりません。

そして、第4~6の習慣において成果を出すには、知性の問題ではなく、感情の問題であるということです。

そこで、感情の問題は、心の安定と密接に関係していることになります。

ポイント

第4~6の習慣において成果を出すには、知性の問題ではなく、感情の問題である 。 心の安定と密接に関係している。


【人間をつくっている4つの側面】
「肉体」 運動、栄養、ストレス管理 → 第1~3の習慣(パーソナル・ビジョン、パーソナル・リーダーシップ、パーソナル・マネジメント)
「 知性 」読書、視覚化、計画立案、執筆 → 第1~3の習慣(パーソナル・ビジョン、パーソナル・リーダーシップ、パーソナル・マネジメント)
「 精神 」価値観の明確化と決意、学習、瞑想 → 第1~3の習慣(パーソナル・ビジョン、パーソナル・リーダーシップ、パーソナル・マネジメント)
「 社会・情緒 」奉仕、共感、シナジー、内面の安定 → 第4~6の習慣(人間関係におけるリーダーシップ、共感による相互理解、創造的協力の原則)

参考

心の安定の源はどこにあるのだろうか。他の人たちにどう見られてるかとか、自分がどんな扱いを受けるかというようなことから得られるのではない。他者から渡された脚本から得られるのでもない。周りの環境や自分の地位も心の安定を与えてはくれない。
心の安定は自分自身の内側から生まれる。頭と心に深く根づいた正確なパラダイムと正しい原則から生まれる。心の奥底にある価値観と一致する習慣を日々実践する誠実な生き方、内から外へ、インサイド・アウトの生き方から生まれるのである。
自分の価値観に誠実に生きることが、自尊心を呼び起こす源だと私は確信している。

参考

同じように、N・エルドン・タナ―(米国の宗教家)はこう言っている。「奉仕とは、この地球に住む特権を得るための家賃である」人に奉仕する方法はいくらでもある。教会や奉仕団体に属していようがいまいが関係ない。多くの人のためになる仕事に就いているかどうかも関係ない。少なくとも一人の誰かに無条件の愛を注ぐ機会なしに一日が終わることはないはずだ。

他者への脚本づけ

ほとんどの人は、自分の周りの人の意見や、モノの見方、パラダイムに脚本づけられれいます。
そのような社会通念の鏡に映った自分の姿が本当の自分だと思っています。

しかし、相互依存の状態にいる人は、自分も他者の鏡の一部になっているということを自覚しています。

これは、相手にこうあるべきという姿のイメージを持って話しをすると、そのように成長していく可能性が高まるということを意味しています。
いわば自己達成予言というものです。

例えば、教師が生徒に教える時、優等生のグループの一員として扱うと、結果として生徒の成績が伸びるということです。
上司が部下と話しをする時などは、こうあるべき、こういう役割を果たすべきという期待を持って接すると、そのような部下になるということです。

私たちは、自分がどう見られているか、どのように社会から評価されているかということに目がいきがちですが、ここでは、自分が他者に対して、どんな姿を映してあげているだろうかということが重要視されています。

ポイント

相互依存の状態にいる人は、自分も他者の鏡の一部になっているということを自覚しています。

参考


ゲーテは次のような言葉を残している。
「現在の姿を見て接すれば、人は現在のままだろう。人のあるべき姿を見て接すれば、あるべき姿に成長していくだろう」

再新再生のバランス

ここでは、これまで見てきた、人間をつくっている4つの側面をバランスよく刃を研がなければならないことが言われています。

どれか1つでもおろそかにすると、他の3つに悪影響を及ぼすことになり、逆に1つの刃を研ぎはじめると、他の3つに波及的に良い効果を及ぼすということになります。

そして、これは個人だけでなく、会社等の組織においても同じということです。

組織の場合は、肉体的側面は経済性、知的側面は、人材を発掘して能力を開発し、有効に活用することになります。
社会・情緒的側面は、人間関係やスタッフの処遇です。そして精神的側面は、組織の目的や貢献、組織としての一貫した姿勢を通して存在意義を見出すことです。

組織でも個人でも、この4つの側面のすべてをミッション・ステートメントに盛り込めばバランスのとれた再新再生ができるということです。
そして、バランスのとれた再新再生により、この4つの側面がシナジーを創り出していくということになります。

ポイント

組織でも個人でも、この4つの側面のすべてをミッション・ステートメントに盛り込めばバランスのとれた再新再生ができる。


【組織における4つの側面】
「肉体」経済性<高い経済性>
「 知性 」人材を発掘して能力を開発し、有効に活用すること<才能を見出し、能力を伸ばして有効に活用>
「 精神 」組織の目的や貢献、組織としての一貫した姿勢を通して存在意義を見出すこと<サービス水準>
「 社会・情緒 」人間関係やスタッフの処遇<良い人間関係>

これを、上向きの螺旋階段を昇るように、継続して行い続けることが重要だとコヴィー先生は言っています。
より高い次元で、学び、決意し、実行する、さらに学び、決意し、実行する。
これを繰り返すことで、上向きの螺旋階段を昇っていくことができるということです。

参考


たとえば、あなたが主体的に行動するほど(第1の習慣)、自分の人生を自分で導くパーソナル・リーダーシップ(第2の習慣)と自分を律するパーソナル・マネジメント(第3の習慣)の能力が向上する。パーソナル・マネジメントの能力が高まれば、第二領域に属する再新再生の活動(第7の習慣)を実行できるようになる。そして、まず相手を理解する努力をするほど(第5の習慣)、お互いのシナジーが創り出され、Win-Winの結果を効果的に見出せるようになる(第4・6の習慣)。自立に至る習慣(第1、第2、第3の習慣)のどれか一つでもしっかり身につけば、相互依存の関係を育む習慣(第4、第5、第6の習慣)を効果的に実践できるようになる。そして再新再生(第7の習慣)は、他の六つの習慣すべてを再新再生させるプロセスなのである。

7つの習慣「第7の習慣 刃を研ぐ」【実践ポイント】

実践ポイント

  • 自己達成予言的に相手の鏡になってあるべき姿へ変えていく
  • 毎日1時間、肉体、知性、精神、社会・情緒の4つの側面の刃を研ぐ時間を作る
  • ミッション・ステートメントに4つの側面全てを盛り込む

7つの習慣「第7の習慣 刃を研ぐ」 感想まとめ

第7の習慣では、これまでの第1~6の習慣を全て包括的にまとめて、それを研ぎすましていく方法が説明されていました。
何時間かけても、切れ味の悪いノコギリで木を倒そうと努力する木こりの例え話のように、刃を研ぐ時間をとることの重要性がわかります。

そして相互依存の状態では、自分が他者の鏡の一部になっていることを意識して、あるべき姿を自分が映し出していかなければならないことの大切さを学ぶことができます。

最後に、個人・組織において、肉体、知性、精神、社会・情緒の4つの側面を、上向きの螺旋階段で学び、決意し、実行することを繰り返していくことで、この7つの習慣が永遠のものになるということがわかります。

7つの習慣「第7の習慣 刃を研ぐ」 評価ポイント

ポイント評価
読みやすさ
実践しやすさ
知識の発見度
構成
総合
7つの習慣

7つの習慣「第7の習慣 刃を研ぐ」  本の目次

本の目次

<第7の習慣 刃を研ぐ>
バランスのとれた再新再生の原則
再新再生の四つの側面
肉体的側面
精神的側面
知的側面
社会・情緒的側面
他者への脚本づけ
再新再生のバランス
再新再生のシナジー
上向きの螺旋
第7の習慣:刃を研ぐ実践編

-ビジネス, 本レビュー