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7つの習慣「第4の習慣 Win-Winを考える」【感想】

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7つの習慣「第4の習慣 Win-Winを考える」【感想】


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ここからは公的成功、相互依存のパラダイムで成功する習慣を紹介していくことになります。
それがまず第4の習慣 Win-Win を考えるです。
Win-Win を考える第4の習慣は人間関係におけるリーダーシップの習慣です。


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こんな方におすすめ

  • 人間関係の悩みを解決したい
  • リーダーシップをうまくとれるようになりたい
  • Win-Winの関係を築く

7つの習慣


7つの習慣「第4の習慣 Win-Winを考える」

人間関係における6つのパラダイム

第4の習慣 Win-Win を考えるでは人間関係における関係を6つのパラダイムに分けて考えます。

その6つのパラダイムとは ①「Win-Win」②「 Win-Lose 」③「 Lose-Win 」④「 Lose-Lose 」⑤「 Win 」⑥「 Win-Win or No Dear 」です。
人間関係はこの6つの関係に分けることができます。
順に見ていきましょう。

①「Win-Win」 は、お互いの利益になる結果を見つけようとする関係です。自分の利益を得るための案1、相手が利益を得るための案2、とすると案1、案2ではお互いの利益になる方法が見つけられなければ、お互いの利益になる案3を見つけだすということです。

②「 Win-Lose 」 は、私が勝てばあなたが負けるという関係です。リーダーシップで言えば、自分のやり方を通し、部下の意見は聞かないといったようなやり方です。法律も 「 Win-Lose 」 のパラダイムです。裁判で白黒はっきりさせる。しかし、この分野でも 「Win-Win」 を考えた調停や交渉に対する関心が高まっているということは興味深いことです。

③「 Lose-Win 」 は、私の負けであなたの勝ちという関係です。 「 Lose-Win 」 は 「 Win-Lose 」 よりもたちが悪い。なぜなら、 「 Lose-Win 」 には基準というものがなく、相手に対して何も主張せず、何の見通しも持たずに、ただ相手を喜ばせたり、相手をなだめたりすることしかしない。『いい人』と思われたい人がこのタイプになります。

④「 Lose-Lose 」 は、気が強くお互いの主張をまげずに我を通そうとする人同士がぶつかり結果として両方敗者になる関係です。そして復讐心に燃え、相手を殺し自分も殺すことになります。敵を自分の人生の中心に置き、その人が失敗することだけに集中し、他には何も見えなくなる状況です。敵対の思想、戦争の思想でもあります。「勝者がいなければ、自分が敗者であることが悪いことではないと思う」タイプになります。

⑤「 Win 」 は、他人は関係なく、ただ自分が勝つことだけを考える関係です。他人の勝ち負けはどうでもよく、自分の欲しいものを手に入れることだけが大切な人です。争いのない日常では、 「 Win 」 はもっとも一般的なアプローチになっているでしょう。このタイプの人は自分の目標の達成しか頭になく、他人の目標がどうなろうと自分には知ったこっちゃないという人です。

⑥「 Win-Win or No Dear 」 は、お互いの利益になることが見つけられなければ取引しないという関係です。つまり、 「Win-Win」 の関係が築けないのであれば、今回は取引しない方が得策と考えます。


【6つのパラダイム】
「Win-Win」 全員が満足できる方法
「 Win-Lose 」自分のやり方を通す、法律・裁判
「 Lose-Win 」相手に対して何も主張しない、『いい人』と思われたい
「 Win 」自分が勝つことだけを考え相手の勝ち負けには無関心
「 Win-Win or No Dear 」全員が満足できなければ取引しない

では、この6つのタイプのどれがいいのでしょうか。

答えはケースバイケースということになります。

スポーツの試合や、会社の支店間の業績を競う刺激であれば、「 Win-Lose 」という関係になります。

些細な問題より相手との関係を大事と思う場合は、「 Lose-Win 」をとる場合もあります。

また、管理職や親の多くは、「 Win-Lose 」と「 Lose-Win 」をいったりきたりしています。

状況次第でどのパラダイムも一番になりえます。
重要なのは、状況を正しく読みとって使い分けるということです。

ポイント

状況次第でどのパラダイムも一番になりえます。 重要なのは、状況を正しく読みとって使い分けるということです。

そうは言っても、現代社会はほとんどの場合、相互依存の関係で成り立っているので、「Win-Win」の関係が築けるのであればそれが一番いいということになります。

ポイント

現代社会はほとんどの場合、相互依存の関係で成り立っているので、「Win-Win」の関係が築けるのが一番いい 。

参考

先々のことを考えれば、どちらも勝者になれなければ、結局はどちらも負けなのである。だから、相互依存の現実社会の中で採れる案はWin-Winだけなのである。

WinWinの5つの側面

「 Win-Win を考える」この第4の習慣が人間関係におけるリーダーシップの原則であることを見てきました。

この本では、人間関係でリーダーシップを発揮するには、①ビジョンと②主体的な率先力、そして③原則中心の主体的な生き方から得られる4つの要素(安定・指針・知恵・力)が必要であると説明されています。

そして、Win-Winの原則は、あらゆる人間関係を成功させるための基礎となるものであり、それには互いに関連し合う5つの側面で成り立っていることを意識する必要があるということです。

ポイント

人間関係でリーダーシップを発揮するには、①ビジョンと②主体的な率先力、そして③原則中心の主体的な生き方から得られる4つの要素(安定・指針・知恵・力)が必要 。

その5つの側面というのが、①人格、②人間関係、③協定、④システム、⑤プロセス、の5つになります。
この5つの側面は互いに関連し合っていて、④システム、⑤プロセスの土台の上に、①人格によって、②人間関係が築かれ、③協定ができるというイメージです。


【Win-Winの原則5つの側面】
①人格、「誠実」、「成熟」、「豊かさマインド」
②人間関係、信頼関係
③協定、望む成果、ガイドライン、リソース、アカウンタビリティ(報告義務)、評価の結果
④システム、社員教育、事業計画、予算、情報管理、給与体系
⑤プロセス、4つのプロセス



<図>

この5つの側面について、Win-Winの基礎となり、リーダーシップを発揮するそれぞれ重要な概念なので順に見ていきたいと思います。

ポイント

5つの側面は互いに関連し合っていて、④システム、⑤プロセスの土台の上に、①人格によって、②人間関係が築かれ、③協定ができる

①人格

人格はWin-Winの土台となるもので、3つの特徴によって育てることができます。

その3つというのが「誠実」、「成熟」、「豊かさマインド」です。

ポイント

人格を育てる3つの特徴が「誠実」、「成熟」、「豊かさマインド」。

「誠実さ」は、第1~3の習慣でも出てきたが、「自分自身に価値を置くこと」と定義される。
自分の価値観を明確にし、それに従って主体的に計画を実行していき、自分との約束を守り続けていく。

ここで、そもそも本当の意味での自分にとってのWinは何なのか、自分の内面の奥底にある価値観と一致するWinが何なのかを知らずにいたら、日々の生活でWinを求めることもできなくなってしまいます。

そして、自分と約束したこと、他者と約束したことを守らなければ、私たちの約束は無意味なものとなってしまいます。

ポイント

自分にとってのWinは何なのか、自分の内面の奥底にある価値観と一致するWinが何なのかを知らずにいたら、日々の生活でWinを求めることもできなくなってしまう。


「成熟」は、「勇気と思いやりのバランスがとれている」ということです。

<図 勇気と思いやり>



この本では、ハーバード・ビジネス・スクールの教授の言葉を引用して、成熟の定義を「相手の考え方や感情に配慮しながら、自分の気持ちや信念を言えること」と紹介しています。

また、採用試験や昇進審査、能力開発の研修などで行われる心理テストも、基本的には成熟の度合いを測るように作らているということです。

「自我/共感バランス」、「自信/他者尊重バランス」、「人間志向/仕事志向バランス」、「I`m OK, You`re OK」などは、どれも「勇気と思いやりのバランス」を見ているものということです。

ポイント

「成熟」は、「勇気と思いやりのバランスがとれている」ということです 。

「豊かさマインド」は、「この世にはすべての人に行きわたるだけのものがたっぷりあるという考え方」です。

わかりやすく説明するために、この反対が「欠乏マインド」と表現されています。

この本では、ほとんどの人が「欠乏マインド」の考え方の人で、パイはたった1個しかなく、誰かが一切れ食べてしまったら自分の取り分が減ってしまうと考えるということです。
このタイプの人が、相互依存の社会で、Win-Winの関係を築くことは難しいということになります。

これに対し「豊かさマインド」を持つには、第1~3の習慣を身につけていて、個人としての喜び、満足感、充足感を得ている必要があります。そこで初めて、他者の個性、望み、主体性を認めることができるようになります。

これらの「誠実」「成熟」「豊かさマインド」を高いレベルで備えた人格は、あらゆる人間関係において、個性主義ではとうてい及ばない本物の力を発揮することになるということです。

ポイント

「豊かさマインド」を持つには、第1~3の習慣を身につけていて、個人としての喜び、満足感、充足感を得ている必要があります。 とれている」ということです 。

②人間関係

①の人格の土台ができあがるとその上にWin-Winの人間関係を築いていけるようになります。

この Win-Winの人間関係 の本質になるのが信頼になります。

信頼がないと妥協をすることになります。

これは、わかりやすいと思います。

信頼関係ができている人に対しては心を開けますよね。

この信頼関係を高めるためには、日ごろから信頼口座への貯金をして、その残高を増やしていく必要があります。

そして信頼口座の貯金がたっぷりあれば、 Win-Win の人間関係 をお互いに目指して、高め合い、大きなシナジー効果を創り出すことができるようになります。

このシナジー効果というのが、あとの第6の習慣につながっていくことになります。

ポイント

Win-Winの人間関係 の本質になるのが信頼になります。

③協定

②の人間関係を築けたら、その Win-Win に至るまでの、中身と道筋を明確に示した協定を結ぶことになります。

いわば業務契約やパートナーシップ協定と呼ばれるものです。

これは上下関係の人間関係から対等な立場で成功を目指すパートナーシップの関係に変わります。

これが Win-Win 実行協定です。
Win-Win 実行協定 では、次の5つの要素をあらかじめはっきりと決めることが大切です。

・望む成果:いつまでに、何を達成するのか(手段を決めるのではない)
・ガイドライン:望む成果を達成するときに守るべき基準(規則、方針など)
・リソース:望む成果を達成するために使える人員、賃金、技術、組織のサポート
・アカウンタビリティ(報告義務):結果を評価する基準、評価する時期
・評価の結果:達成度合い、貢献度合い、評価の結果としてどうなるのか

この5つの要素をあらかじめお互いに決めておいて、望む成果を得ることになります。


【Win-Win 実行協定の5つの要素】
・望む成果:いつまでに、何を達成するのか(手段を決めるのではない)
・ガイドライン:望む成果を達成するときに守るべき基準(規則、方針など)
・リソース:望む成果を達成するために使える人員、賃金、技術、組織のサポート
・アカウンタビリティ(報告義務):結果を評価する基準、評価する時期
・評価の結果:達成度合い、貢献度合い、評価の結果としてどうなるのか



これは、上司と部下の関係においても大切なことであり、使えるテクニックと感じました。
経営学者のピーター・ドラッカーは、管理職と部下との間で合意事項を明確にするために「マネジメント・レター」というものを活用することを勧めていました。
それが、この組織目標に沿って、望む成果、ガイドライン、リソースを具体的に話し合って決めてレターにまとめ、業務計画の話し合いや、評価面談の時期もこれを明記して上司に出すというものです。
この Win-Win 実行協定を確立することがマネージャーのもっとも重要な仕事であると言われています。

ポイント

Win-Win 実行協定を確立することがマネージャーのもっとも重要な仕事である 。

参考

マネージャーはカーレースのペースメーカーのようなもので、レースが動き出したら、自分はコースから外れる。その後は、路面に漏れ落ちたオイルを拭き取るだけでいいのである。
上司が部下一人ひとりの第一アシスタントになれば、管理職としてコントロールできる範囲を大きく広げることができる。
管理部門をそっくりなくして経費を削ることも可能だ。六人とか八人どころではなく、二十人、三十人、五十人、場合によってはもっと多くの部下を管理できるようになるだろう。

④システム

組織の中に Win-Win を支えるシステムがなければ、 Win-Win の精神を定着するこはできなくなってしまいます。

ここでいうシステムというのは、分かりやすく言えば、組織の給与や報酬の仕組みということになります。

報酬のシステムを、目標や成果、価値観と合うものにしなければならないということです。

これは、年功序列の会社等を考えて見るとわかりやすいと思いますが、一般的に給与の低い、新入社員や若手の社員のやる気を出させるためには、報酬体系を成果に結びつけるようにしなければなりませんよね。

参考

Win-Winが機能するには、それを支えるシステムが必要である。社員教育、事業計画策定、コミュニケーション、予算、情報管理、給与体系、すべてのシステムがWin-Winの原則に基づいていなければならない。

⑤プロセス

Win-Win の本質はそのプロセスと強い相関関係にあります。
少しわかりにくいかもしれませんが、目標が Win-Win であるなら、手段も Win-Win でなければならいということです。

ポイント

目標が Win-Win であるなら、手段も Win-Win でなければならい 。

本書のコヴィー先生の場合、 Win-Win の解決策に向けて、人や組織にアドバイスするときは次の4つのステップを踏むプロセスを勧めています。


【Win-Win の解決策に向けた4つのステップを踏むプロセス】
1 問題を相手の視点に立って眺めてみる。相手のニーズや関心毎を当の本人と同程度に、あるいはそれ以上に理解しようとし、言葉にしてみる。
2 対処すべき本当の問題や関心事(立場ではなく)を見極める。
3 どんな結果であれば双方が完全に受け入れられるのかを明確にする。
4 その結果に到達するための方法として新しい選択肢を見つける。

ざっくり、このステップの流れをまとめると、1相手の求めることを知る→2問題の本質を見抜く→3お互いの利益になる結果を見つけ出す→4その結果に到達する方法を見つける、といったことになります。
このプロセスのステップは後の、第5、第6の習慣にも関係してきます。

参考

ハーバード・ロー・スクールのロジャー・フィッシャー教授とウィリアム・ユーリー教授は、『ハーバード流交渉術』という洞察にあふれた本を著している。同署の中で両教授は、彼らのいう「原則立脚型」と「立場駆け引き型」のアプローチを対比させ、鋭い指摘をしている。Win-Winという言葉こそ使われていないが、この本の根底にある考え方はまさにWin-Winのアプローチである。
両教授は、人と問題を切り離して考え、相手の立場ではなく課題に焦点を絞り、お互いの利益になる選択肢を考え出し、双方とも納得できる客観的な基準や原則を強調することが原則立脚型の本質だと言っている。

7つの習慣「第4の習慣 Win-Winを考える」【実践ポイント】

実践ポイント

  • 人間関係における6つのパラダイムのどれになっているか意識する
  • 勇気と思いやりのバランスを高めてWin-Winにする
  • 5つの要素を決めてWin-Win実行協定を結ぶ

7つの習慣「第4の習慣 Win-Winを考える」 感想まとめ

第4の習慣では、日々の生活で毎日直面する人間関係において、すぐに使えて効果的なテクニックがたくさん紹介されていました。

仕事の場面では、上司、部下、同僚との関係において、 人間関係における6つのパラダイムのどの関係に今あるのかを意識したり、Win-Winの関係に持っていくための5つの要素(人格、人間関係、協定、システム、プロセス)を活用するなど、重要なことがら満載でした。

特に上司、マネージャーとなる時の、 Win-Win 実行協定の5つの要素(望む成果、ガイドライン、リソース、アカウンタビリティ、評価の結果)は、確認しておいた方がいいですよね。

また、夫婦関係や子育ての関係においても、十分活用できる内容と感じました。

7つの習慣「第4の習慣 Win-Winを考える」 評価ポイント

ポイント評価
読みやすさ
実践しやすさ
知識の発見度
構成
総合
7つの習慣

7つの習慣「第4の習慣 Win-Winを考える」  本の目次

本の目次

<第4の習慣 Win-Winを考える>
人間関係におけるリーダーシップの原則
人間関係の六つのパラダイム
どのパラダイムがベストか?
Win-Win or No Deal
Win-Winの五つの側面
第4の習慣:Win-Winを考える実践編

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